平成13年度から18年度までの間に内閣府が実施したタウンミ
ーティングの運営に関する請負契約に関する会計検査の結果
についての報告書(要旨)
平
成
1
9
年
1
0
月
検査の背景及び実施状況
1
参議院からの検査の要請の内容
( 1) 検査の対象
内閣府
( 2) 検査の内容
平成13年度から18年度までの間に内閣府が実施したタウンミーティングの運営に
関する請負契約についての次の各事項
① 契約方法、契約手続などの状況
② 契約金額、支払金額など契約執行の状況
③ 会計事務処理の状況
2
タウンミーティング及びその運営に関する請負契約の概要
表1 契約の概要(平成13∼18年度)
注( 1) 13年6月から18年9月までの間に開催された174回のタウンミーティングのうち、13年度 の第51回雇用創出タウンミーティングイン東京( 13年12月16日)は内閣府の経費負担による ものではなく、また、第52回タウンミーティングイン葛飾(14年3月3日)は共催団体と共 に内閣府が直営により実施しており、それぞれ上記の契約には含まれていないため、上記 契約による開催回数は172回となっている。
注( 2) 14年度前期の契約は、14年4月15日に業務を追加する契約変更を行っている。
注( 3) 電通及び朝日広告社の正式名称は、それぞれ、「株式会社電通」及び「株式会社朝日広 告社」である。
請負業者 契約年月日 契約期間 開催 支払金額
回数 (円)
前期 電通 13. 5. 23 13. 5. 23 16 386, 473, 217
∼13. 8. 10
後期 電通 13. 8. 1 13. 8. 1 34 552, 802, 943
∼13. 12. 21
前期 朝日広告社 14. 4. 1 14. 4. 1 11 79, 114, 457
∼14. 7. 31
後期 電通 14. 7. 25 14. 8. 1 15 114, 296, 212
∼15. 3. 31
電通 15. 4. 1 15. 4. 1 28 297, 112, 917
∼16. 3. 31
朝日広告社 16. 4. 1 16. 4. 1 26 242, 186, 845
∼17. 3. 31
朝日広告社 17. 4. 1 17. 4. 1 23 295, 540, 185
∼18. 3. 31
朝日広告社 18. 4. 3 18. 4. 1 19 202, 330, 194
∼19. 3. 31
172 2, 169, 856, 970 18年度
合 計 年 度
15年度
16年度
17年度 13
年
度
14
年
検査の結果
1
契約方法、契約手続などの状況
( 1) 13年度のタウンミーティングの運営に関する請負契約について
ア 契約方式及び契約形態
① 13年度前期は、緊急の必要により競争に付することができないなどの理由に
より、随意契約で、電通と総価契約を締結。
② 13年度後期は、直ちに運営業務を定型化して競争に付すことはできないとの
ことから、企画競争を経た後、随意契約で、電通と総価契約を締結。
イ 契約手続
検査の結果、表2のとおり、事業の実施を先行させ、契約を確定させるまでに必
要となる見積書の徴取、支出負担行為決議書及び契約書の作成等の手続を事後的
に行う処理をして、実際には請負業務を了した後に契約金額を確定させていたと
認められた。さらに、契約書等の日付をさかのぼって記載していたと認められた。
表2 契約手続の流れ(平成13年度)
番 契 約 手 続 13年度前期 13年度後期
号
決裁文書等 実際の時期 決裁文書等 実際の時期
上の日付 上の日付
① 予定価格の決定 13. 5. 23 前期のタウンミーティン 13. 8. 1 13年9月以降
( 13年6
グの開始 後
月16日)
② 見積書の徴取 13. 5. 23 前期のタウンミーティン 13. 8. 1 後期のタウンミーティン
( 13年11
グの終了(13年7 グの終了
後 後
月8日) 月18日)
③ 契約をすることに 13. 5. 23 前期のタウンミーティン 13. 8. 1 後期のタウンミーティン
( 13年11
ついての伺い(仕 グの終了(13年7 グの終了
様書添付)の起案 月8日)後 月18日)後
④ 支出負担行為決議 13. 5. 23 14年3月頃 13. 8. 1 14年4月頃 書の起案、契約書
作成の完了
( 2) 14年度から18年度までのタウンミーティングの運営に関する請負契約について
ア 契約方式及び契約形態
14年度から18年度までは、13年度までに運営業務についてのノウハウが蓄積さ
れたことを踏まえ、ある程度定型化した契約を競争入札で行うことが可能となっ
たとのことから、一般競争契約により、下記の単価契約を締結。
① 入札は、仕様書に示されたタウンミーティングの各業務ごとに要する標準的
な数量(モデル員数)を前提として、業者からタウンミーティング1回当たりの
金額について入札を求める。
② 落札者は、各業務項目ごとのモデル員数に単価を乗じた合計額がちょうど落
札金額と一致する範囲内で自由に単価を設定した契約単価内訳書を内閣府に提
出し、これらの契約単価により単価契約を締結する。
(参考図) 契約単価決定の概念図
業務Aのモデル員数 業務Aの契約単価 ×
(仕様書で設定済) (落札者が設定)
合 落
業務Bのモデル員数 業務Bの契約単価 札
× 計 = 金
(仕様書で設定済) (落札者が設定) 額
額
・ ・
・ ・
・ ・
③ 支払金額は、下記の1) ∼3) までの合計額
1) 契約単価を設定している項目(単価項目)については、契約単価× 実際にタ
ウンミーティングで履行された員数(ただし内閣府の指示によるもの)
2) あらかじめ実費で精算するとした部分(会場借上げに要する費用等)
3) 仕様書に記載のない事務(追加作業)については、内閣府の指示があった場
合にはこれに従い、速やかに対応することとされ、これに係る費用(追加費
イ 契約手続
検査の結果、表3のとおり、事業の実施を先行させ、契約を確定させるまでに必
要となる契約単価内訳書の受領や契約書の作成等の手続を事後的に行う処理をし
ていたり、契約書等の日付をさかのぼって記載したりしていたと認められた。
特に契約単価内訳書の受領が事業の開始後になっている事態については、落札
者が、員数の実績を確認した後にモデル員数に比べて実際の員数が大きく増加し
た項目に高い契約単価を設定することを可能とするものであり、発注者に過大な
費用を支払うリスクを生じさせるものであった。
表3 契約手続の流れ(平成15年度、17年度及び18年度)
番 契約手続 15年度 17年度 18年度
号 決裁文 実際の時期 決裁文 実際の時期 決裁文 実際の時期
書等上 書等上 書等上
の日付 の日付 の日付
入札の実施 15. 3. 17 15. 3. 17 17. 2. 28 17. 2. 28 18. 1. 27 18. 1. 27 ① 契約単価内訳 15. 3. 17 15年5月以 記載な 17年7月以 記載な 18年4月下
降 し 降 し 旬以降
書の提出
② 契約書作成 15. 4. 1 15年5月以 17. 4. 1 17年7月以 18. 4. 3 18年4月下
の完了 降 降 旬以降
タウンミーティ 15. 4. 5 17. 4. 2 18. 4. 1 ング初回開催日
2
契約金額、支払金額など契約執行の状況
( 1) 13年度のタウンミーティングの運営に関する請負契約について
ア 契約金額
前記のとおり、支出負担行為決議書の起案は実際にはタウンミーティングの事
業の終了後であったと認められることなどから、契約金額は請負業務を了した後
に確定させていたと認められた。
イ 支払金額
1回当たりの平均金額についてみると、前期が2184万余円、後期が1329万余円と
なっており、前期が後期に比べて800万円以上高額となっており、また、前期後期
とも一般競争契約となった14年度以降の1回当たりの平均金額1008万余円と比べて、
表4 契約金額及び支払金額(平成13年度)
年度 開催回数 1回当たりの 平均金額
13 前期 16回 2184万余円 年度
( 注) 後期 34回 1329万余円
14∼18年度 122回 1008万余円
( 注) 14年度以降の契約には含まれていない新聞広告掲載料を除く。
( 2) 14年度から18年度までのタウンミーティングの運営に関する請負契約について
ア 契約金額及び支払金額
14年度以降は、単価契約であるので、契約期間中の総額やタウンミーティング
1回当たりの金額は契約金額として定められていない。
そこで、各契約ごとの支払金額のうち、実費精算部分、請求書において単価項
目とは別に設けられた項目(追加項目)を除き、単価項目部分の支払金額と、落
、 札価格(タウンミーティング1回当たり)に開催回数を乗じた金額を比較すると
表5のとおり、14年度前期を除き、精算員数がモデル員数を上回ることにより、前
者が後者よりも多額となるなどの状況となっていた。
表5 支払金額(平成14年度以降)
(単位:回、円)
年度 開 支払金額
落札価格
催
× 開催回数
回 うち単価項目 うち追加 うち実費 部分 項目部分 精算部分
数
前
期 11 79, 114, 457 63, 970, 907 0 15, 143, 550 75, 813, 980
14 年
後
度
期 15 114, 296, 212 92, 047, 675 0 22, 248, 537 74, 739, 750
15年度
28 297, 112, 917 230, 059, 964 0 67, 052, 953 163, 093, 000
16年度
26 242, 186, 845 153, 352, 619 36, 420, 268 52, 413, 958 121, 413, 500
17年度
23 295, 540, 185 204, 158, 939 33, 229, 494 58, 151, 752 104, 868, 500
18年度
イ 仕様書
員数を式数で設定しているもののうち、「内閣府との事前調整」の項目のように
対象となる作業の内容が示されていなかったり、「託児室の設置」の項目のように
どのような場合に員数を増加させるかの説明がなかったりしているなど、単価設
定の前提となる条件が明確ではない項目も見受けられた。
また、精算員数がモデル員数を継続的に上回るなど相当のかい離が生じている
・ ・
状況となっていた。
<事例1>
「警備員」のモデル員数は、平成14年度前期から18年度まですべて10名であ
った。しかし、精算員数は、14年度前期から18年度まで各タウンミーティング
の平均で、順に、9. 6名、26. 3名、26. 9名、15. 0名、18. 0名、17. 3名となってい
た。
ウ 予定価格
予定価格算定に用いたモデル員数が精算員数を継続的に下回るなど相当のかい
・ ・
離が生じていたり、予定価格算定に用いた単価が他の取引の実例価格を調査して
それを考慮したものとはなっていなかったりしている状況となっていた。
エ 契約単価
・ 単独で項目を設定することが疑問である単価項目が見受けられた。
<事例2>
平成14年度から16年度までの契約においては、「空港(又は駅)での閣僚送迎
等」、「会場における送迎等」、「エレベーター手動」、「エレベーターから控室ま
で誘導」の項目がそれぞれ独立して設けられていた。
・ 契約単価が大幅に変動しているものが見受けられた。
<事例3>
「会場発言者マイク係」のモデル員数は、平成14年度から16年度まですべて
・ ある単価を高額に設定した場合、他の単価が低額に設定されることとなる
ことから、ある特定の単価が高額であることが直ちに支払金額の増加となる
ものではないが、内閣府が関与することなく落札者が契約単価を決定する方
法は、落札者が予定価格算定に用いた単価よりも大幅に高い単価を設定した
項目について精算員数が増加した場合に、当初の想定より大幅に高い費用を
負担するリスクを内閣府が負うこととなる。
オ 精算
( ア) 員数の指示等の記録について
単価項目に係る業務についての員数の指示や、追加作業を行わせる内閣府の
指示を後日の精算に用いるために取りまとめて記録したものは作成されていな
かった。
また、追加費用については、内閣府と請負業者の間で別途協議することとさ
れているが、追加作業の内容及びこれに係る追加費用の算定方法、請求に当た
って付すべき資料等について内閣府と請負業者との協議によりどのように決定
されたかを示す記録はほとんどの場合において作成されていなかった。
( イ) 単価項目の員数について
ハイヤー及び閣僚使用車の伴走車については、契約単価の中で行うべき業務
と追加作業とするものの区別が明確でなかったり、請負業者が追加作業として
行った事務が、請求書において追加項目として明示されず、単価項目の員数に
上乗せすることにより請求、精算が行われていた事態が見受けられた。
また、ハイヤー等以外について、請負業者が追加作業として行った事務が、
追加項目として明示されず、単価項目の員数に上乗せすることにより請求、精
算が行われていた事態(上乗せして請求した金額は合計40, 710, 500円(消費税
を除く))が見受けられた。
「託児室」及び「タウンミーティング当日議事概要」について、員数の算定
方法が仕様書等において明確に示されておらず、統一的な方法で精算が行われ
( ウ) 追加項目について
追加項目に係る支払は、16年度は計3642万余円、17年度は計3322万余円、18
年度は計3561万余円となっていたが、これら内閣府が支払った費用については、
前記( ア) の事情から、妥当性を検証することは困難な状況であった。
3
会計事務処理の状況
( 1) 契約に係る手続
事業の実施を先行させ、契約を確定させるまでに必要となる契約書の作成等の手
続を事後的に行う処理をするなどしていた事態が見受けられた。
( 2) 員数の指示等の記録
員数等の指示を後日の精算に用いるために取りまとめて記録したものは作成され
ていなかったり、追加作業の内容及びこれに係る追加費用の算定方法等について内
閣府と請負業者との協議によりどのように決定されたかを示す記録はほとんどの場
合において作成されていなかった。
( 3) 給付の完了の確認
14年度以降は単価契約であるため、その支払に当たっては実際に要した員数等の
確認が極めて重要である。
しかし、給付の完了の確認を行う検査職員は、タウンミーティング担当室の職員
を確認者として契約業務の履行の確認を行わせ、その確認をもって給付の完了を確
認したものとしていたが、確認者による正確な員数等の確認は十分に行われていな
かった。また、員数等の確認についての書面による記録が作成されていなかった。
( 4) 請求書の審査
14年度以降の単価契約について、上記( 2) 及び( 3) のとおり十分な記録が作成され
ていなかったことなどから、タウンミーティング担当室の職員も会計課も、請求書
検査の結果に対する所見
上記の検査の結果を踏まえ、内閣府では、今後の事業の実施に当たっては、以下の
点に留意することが必要である。
( ア) タウンミーティングの運営に関する請負契約の契約手続について、事業の実施を
先行させ、契約を確定させるまでに必要となる契約書の作成等の手続を事後的に行
う処理をしていたり、契約書等の日付をさかのぼって記載したりしていたと認めら
れたものがあり、このような会計法令に反するなど不適切な処理が繰り返されるこ
とのないよう、法令遵守の徹底等の再発防止策を講ずること
( イ) 契約金額、支払金額等について、総価契約を締結した13年度において実際には請
負業務を了した後に契約金額を確定させていた事態、単価契約を締結した14年度以
降において、内閣府が関与することなく落札者が契約単価を決定することとしてい
た事態、単価設定の前提となる条件が仕様書において明確でなかったり、精算員数
がモデル員数を継続的に大幅に上回っていたり、請負業者との協議の記録が残され
ないまま追加費用が多額に発生していたりして落札価格に比べて多額の費用を支払
うこととなっていた事態などはコスト意識が十分であったとは認められず、今後、
事業が一層経済的に実施されるよう努めること
( ウ) 請負契約の会計事務処理について、単価項目に係る業務についての員数の指示や
追加作業を行わせる内閣府の指示を後日の精算に用いるために取りまとめた記録が
作成されていなかったこと、また、員数等の確認についての書面による記録も作成
されていなかったことなどから、タウンミーティング担当室の会計担当も会計課も、
請求書に記載された個々の員数等を的確に審査することができない状況となってお
り、今後の請負契約においては必要な記録の整備等が的確に行われるよう、会計機
関が必要な指示や態勢整備を行うこと
以上のとおり報告する。
そして、会計検査院としては、今後とも、同様の請負契約等が適切に実施されている